車いすから始まる大冒険（短編小説）

※フィクションです。

海斗は、ある日の事故で半身不随となり、人生が一変した。かつてはアウトドアが大好きで、週末には山や海を駆け巡っていたが、事故後は車いす生活を余儀なくされた。最初は絶望し、自分の未来が見えなくなっていた。

ある日、海斗が公園で車いすに乗って日光浴をしていると、子供がラジコンカーを遊んでいるのを目にした。子供たちの笑顔とラジコンカーの動きに心惹かれた海斗は、ふとした衝動で自分もラジコンを手に入れてみたいと思った。それがすべての始まりだった。

海斗は、古いスマホを使ってラジコンカーを操作する方法を調べ、少ない貯金をはたいて一台のラジコンカーを購入した。そして、車いすに乗りながらも、公園でラジコンを走らせる喜びを見つけた。

この小さな楽しみが彼の心を少しずつ明るくしていった。そして、海斗はこの楽しみを共有したいと考え、YouTubeに「車いすラジコンダー海斗」というチャンネルを開設した。彼の最初の動画は、車いすからラジコンカーを操る姿を撮影したものだった。

最初は視聴者はほとんどいなかったが、海斗はめげずに動画投稿を続けた。彼はラジコンカーのカスタマイズや、車いすにカメラを取り付けた視点からの撮影など、独自のコンテンツを作り上げていった。

ある動画で、海斗が公園の小さな坂を車いすで上がりながら、ラジコンカーを走らせていると、ラジコンが転倒してしまう。しかし、海斗は笑いながら「失敗は成功のもと」とコメントし、多くの人々の心を捉えた。この動画がきっかけで、彼のチャンネルは徐々に注目を集め始める。

やがて、海斗はラジコンカーだけでなく、車いすで訪れることができる魅力的なスポットを紹介する動画や、障害を持つ人々の日常をポジティブに描いた動画など、コンテンツの幅を広げていった。彼のチャンネルは、障害を持つ人々にとっての情報源となるだけでなく、多くの人にとってのインスピレーションの源となった。

数ヶ月後、海斗のYouTubeチャンネルはフォロワー数が急増し、ついには月収100万円を超える収益を生み出すまでになった。海斗は、自分の趣味を生かして、新たな人生の道を切り開いたのだ。

エンディングでは、海斗がラジコンカーと共に海辺の夕暮れをバックに「車いすでも、冒険は続くんだ。

これからも一緒に楽しもう！」と語りかけるシーンが描かれる。彼の物語は、困難に直面しても諦めないこと、小さなきっかけから大きな夢を叶えることができることを、多くの人々に伝えたのだった。